北海道ツーリング熊対策【ソロライダー必見】体験者が語る準備と遭遇時の心構え

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北海道を林道含めてセローで一周した体験から、ヒグマ対策のまとめ。ヒグマの出没情報リンク、事前準備、遭遇時の心構え、ヒグマスプレーの選び方とお得な購入方法、ヒグマ対策の参考良書「クマにあったらどうするか」まで解説

雄大な北海道のツーリング、もしあなたがオフローダーであれば、林道も走ってみたいですよね。
実際、私もセロー250に乗って北海道を15日間ツーリングしました。魅惑的な林道が、道東にも道北にも、市街地付近にもいたるところにあり、まさに「北海道は林道天国」。オフローダーにとっては、まるで聖地。

しかし気になるのはやはり、「熊」。
ニュースを見ると熊の報道ばかり。それも恐怖を煽るばかりで、実際の対処方法の解説はほぼなし。

実際、わたし自身、2021年のNIR(ノースアイランド・ラリー)で林道走行中に、小熊らしきものが目の前を横切りました。そのときは何の動物かわかりませんでしたが、後で考えるとクマ以外は考えられない姿。母グマに遭遇しなかったのは、本当に幸いでした。

これではせっかくの北海道ツーリングが熊の不安ばかり。

そこで色々調べました。ソロでツーリングするから、それはもう入念に。もともと医療関係のマーケティングをしていたことから、徹底的に事前調査をするのはほぼ習性。だって患者にできるだけよい治療を提供したいし、万が一を絶対に避けたいから。

だからクマについても徹底的に事前情報を収集。いたずらに恐怖を煽る報道ではなく、熊に携わる人、それも実際に闘った猟師さんの情報などを参考にしました。

例えば、

  • くまはどんな動物なのか、むやみに人を襲うのか
  • くまはどこに出るのか、出没情報はどこにあるのか
  • 熊に出会わないためにはどうしたらよいのか
  • 万が一 クマに出会ってしまったらできる限り正しい対処方法は何か
    特にこれは最重要。アイヌのクマ撃ち猟師、姉崎等さんの著書「クマにあったらどうするか」からまとめました。森林観察員の情報なども良いですが、実際にクマと戦った猟師ーさんの生々しい情報の方がより、実践的と考えての選択です。
  • クマスプレーはどうやって選んだら良いのか、お得な買い方はあるのか

などなど 実際に北海道を林道を含むツーリングする場合に気になる点をまとめました。

幸いなことに、今回わたしは熊には遭遇しませんでした。正直、この旅ではオンロードでもまわりたいところが山ほどあり、林道は少なめでした。それでも、少ないながら林道や人気のない奥地に入ったときは、事前準備からの安心感がありました。

クマにも個体ごとに個性があるので、この情報が「絶対の正解とは思いません」。しかしやってはいけないNG行動(背を向けて逃げるなど)は含まれていないと思います。

北海道をツーリングするライダーが安心して雄大な大地を楽しむ参考になれば嬉しいです。

 

<熊対策の参考良書>クマにあったらどうするか (姉崎等 著)

全国で熊報道が多いので、北海道ツーリングでの熊対策として読了。林道に行くこともあるので念のため、基礎知識。

アイヌ最後の猟師、姉崎等さんへのインタビュー形式。ヒグマの生態から遭遇時の対処法まできちんとエビデンスに基づいて書かれています。
いたずらに不安をあおるのではない内容がとてもよいです。
正直、森林監視員などの熊と戦ったことのない人の記事では信憑性が不足していたので、この書にたどり着きました。
ただしあくまで参考情報。ツキノワグマにそのまま使えるとも限らないです。クマにあったらどうするか

<クマについての基礎知識>

意外とニュースでクマの恐怖をあおっていますが、実態はそこまで危険な生き物ではないようです。やはり生態をよく知るのは、基本ですね。

「クマにあったらどうするか」からのまとめです。

・熊は雑食性、肉よりも草食寄り
・基本的にクマは臆病
・里山に住む生き物で実はよく人間を観察している。
クマは人間を強い生き物と認識。道具を使った移動や木の伐採を観て、自分より人間が強いかもしれないと警戒している。
・偶然接近遭遇をしない限り、襲ってくることはあまりない。
・襲うとしたら若い2-3歳の熊。イキッタ中学生のようなもの
・ただし人を食べたクマは、生身の人間が自分より弱いことを認識しているので、逃げずに向かってくる。これは非常に危険
・家畜を襲う熊は、人間が生身では弱い生き物と認識していないので、そこまで危険性は高くない。

対処法は5章最後にまとめあり

この写真は道の駅 南ふらのにあるヒグマのはく製です。

  • 左の14歳オスグマで400kg、右の6歳メスグマで120kg
  • オスグマの胸のあたりでおよそ165㎝の高さ
  • 爪は出しっぱなしなので、捕まったら離れることが難しい
  • 肉食獣ではないのでいきなり噛んでこない
  • 走る速度は時速50㎞(100m走なら7.2秒。ウサイン・ボルトの9秒58より超速い。
  • 背を向けて逃げたら、必ず追いかけてくる。最悪のNG行動。
  • 視力は0.1程度ともいわれており、しかし動的視力は鋭い
  • 耳と嗅覚は優れている。
くまのはく製

下の写真は、身長165センチのわたしが、クマとの距離60㎝で見上げたときの視点。はい、熊はとても背が高いです。爪が伸びた腕も広いです。意外と口は小さいので、肉食獣ではないのは確かなようです(奥歯は臼歯ですし)。

できる限り、遭遇しないのが一番。遭遇しても、接近をゆるしてはいけませんね。そのための準備を次から解説してきます。

目前のクマの見え方
クマとスプリンターの競争
クマとウサイン・ボルトの速度差イメージ

 

<熊に会わないために>事前準備 ひぐま出没マップなどリンク集

  • そもそもクマとの遭遇を避けるためには、頻回に出没している地域を把握する。
  • 特に人を恐れずに近づいている個体がいる地域は避ける。熊もいきなり人間を襲うより、人間という生き物を観察検証しているのでしょう。

下記の地域情報を最大限活用する。

  • ひぐまっぷ:直近3か月のひぐま出没情報をマップで表示:全道網羅されているわけではありませんが、いちばんわかりやすいです。
ひぐまっぷ - 全道直近3ヶ月
ひぐまっぷ

出典:ひぐまっぷ web site

  • 北海道庁 自然観察局 ヒグマ警報及び注意報の発出状況:全道でのヒグマ警報及び注意報の全体像を把握するのに適しています。
ヒグマ警報及び注意報等について - 環境生活部自然環境局
現在、北海道ヒグマ注意報が発令中です! 令和4年(2022年)3月31日に札幌市西区で発生したヒグマによる人身事故...
  • ヒグマ出没情報【市町村ヒグマ関連情報リンク集】:上記の全道情報の詳細の把握用
市町村ヒグマ関連情報リンク集 - 環境生活部自然環境局
ヒグマ出没情報 【市町村のヒグマ関連情報ホームページ】 ヒグマとの遭遇を避け人身被害を防ぐには、ヒグマの出没情報に...
  • 北海道公式X(旧Twitter)(ヒグマの情報を発信しています):リアルタイム情報の把握に活用。ヒグマ以外の情報も含まれますが、災害情報としても有用です。
https://x.com/PrefHokkaido/

<クマに会わないために>現地編

「クマにあったらどうするか」からのまとめです。クマに会わないための現場対策です。主に歩行時の対策なので、ライディング中はそのままはつかえないです。

・鈴や缶の音より、ペットボトルを潰す音をいやがる(聞きなれない)。ただし2002年の著書なので、地域によっては慣れている熊もいるかもしれません。
・木を細い棒で縦に(横ではない)叩くと嫌がる

知床五湖散策ツアーのガイドさんの行動から、ライディング中の参考になるもの。

  • 知床のガイドさんは、向こう側が見えない場所を通る前に、2回ほど人間の存在を知らせる声をあげています。そこからしばらくおいて、進み始めます。つまり熊が退避する時間を与えています。

これをバイクに応用すると、

  • 林道のブラインドカーブの手前でクラクションを鳴らす。ただし速度が出すぎているとあまり意味がないので、結構手前から鳴らす必要がありそうです。

<熊鈴>不使用の理由と必要時のみに音が鳴らせる簡単な改造方法

熊鈴は、山に入る人の必須装備のように考えられていますが、わたしは使用しませんでした。理由は、

  • 林道走行では、そもそも排気音に音がかき消されて意味がなさそう。
  • 歩行時でも、熊鈴になれたヒグマが多いと考えられるので、逆に人間の存在を教えてしまう。
  • 餌付けをする観光客が、もし熊鈴をつけていたら、クマが覚えてしまう。その場合、鈴をつけているのは逆効果
  • いつでもどこでも音が鳴るので、うるさい。
  • 振り子(可動部分)を固定できて、必要時のみ音を鳴らせる鈴もあります。購入すると2000円以上します。簡易製作であれば、百均の鈴の振り子にストローをかぶせれば作れます。必要時に取り外しができて、普段は音がかなり抑えられる鈴の完成です。

<クマに会ってしまったら>

熊に会ってしまった場合の対策。「クマにあったらどうするか」からのまとめです。

・バンバンと地面を叩く音がしたら、来るなの合図。それ以上近づかない、目を合わせながら後退。
・基本逃げない
・目をそらさない

・ベルトを振り回せば、ヘビと勘違いして逃げる可能性
・棒でつつくより、枝の着いた木で防御する
・車の音には慣れっこ
・子連れクマは親の目を見て、子グマはみない。そのまま後ずさりして退避
・大声を出す
・組み伏せられたら、肉食獣ではないのでいきなり噛んでこない。口を開けたところで腕を根元まで突っ込み、舌を掴んで押したり引いたりする。奥まで突っ込めば、口も閉じられない。嫌がって逃げる。(これはできるかなあ)
・数メートルは飛ぶので、距離は一気に縮められてしまう(これはマジで怖い)

以上。実戦経験に基づいた情報は役立ちそうです。
何よりもクマのいそうな場所には近寄らない事が肝要です。

余談ですが、「クマにあったらどうするか」は、おそらく漫画ゴールデンカムイの参考図書のひとつかも知れません。エピソードと被る内容がいくつかありました。あくまで私見ですが。

とてもおもしろい本でした。小学生のときに戸川幸雄さんの動物文学を好きだった方には合うと思います。

<ヒグマ用スプレー>選び方とお得な購入方法

ヒグマ用スプレーは各種発売されていますが、選び方とお得な購入方法は以下のです。

UDAPクマスプレー

  • ヒグマ用を購入(ただクマと書いてあるのは、ツキノワグマ用で、ヒグマに効果ないようです。)
  • 飛距離が実測値で4m以上できるだけ熊から距離をとりたい、自分にスプレーがかかるのを防ぐため。
  • 噴霧時間が実測値で7秒以上のもの:きちんと狙えるか、不確かなので、できるだけ噴霧時間が長い方が安心です。
  • 射程距離や噴霧時間は、メーカー数値と実測値に差がありそうです。my bestの実測値も参考にしてください。
    https://my-best.com/6559
  • わたしはUDAP 熊撃退スプレーを購入しました(2024年5月 Amazon 9800円で購入)。
  • 過去にはFRONTIERSMANベアスプレーも購入しました(2021年8月 Amazon 9800円で購入)。
  • 夏のツーリングシーズンは9800円くらいしても、長ければ5年は持つ(使用期限は当たり外れあり)ので、保険と思って購入
  • 安く購入したいのであれば、冬のオフシーズンに購入。6800円くらいのときもあります。(2025.8月末現在、UDAPクマ撃退スプレーはすでに6800円)

なお、知床五湖のガイドさんは、2本携帯されていました。正直、そのくらい持っていないと不安ですが、二本携帯するのはツーリングには現実的ではないかもしれません。

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